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日時:令和4年11月5日(土)~6日(日)
場所:池坊短期大学 洗心館・美心館【京都府京都市下京区四条室町鶏鉾町】
(第1日目 11月5日)
ソニーコンピュータサイエンス研究所上級研究員 茂木 健一郎
最近のAIの発達によって「人間の仕事がなくなるのでは」と言われる。果たしてそうであろうか。そうはならないのではないかと考えている。例えば、英訳する能力が高いAIがあるが、AIには英訳はできても、自分の脳を使って英語を話す価値を理解する、あるいは英語を話して英語圏の発想が身に付くというようなことは人間にしかできない。かつてはG-facter(ジェネラル・ファクター)【一般的で基本的な知能因子】が重要とされた。しかし、その部分において、人間はAIには勝てない。これからの時代はC-facter(コレクティヴ・インテリジェンス・ファクター)【チームとして協働し、成果を出す能力】が必要とされる。加えて、Social sensibility(ソーシャル・センシビリティ)【社会的感受性】が高いこと、グループで互いに能力を補い合うことで素晴らしいものを生み出す力こそが重要である。それを育てる教育を子どもたちにすべきである。もちろん、すべての教科の基礎学力が大事であるが、好奇心、乗り越える力を身に付けさせたい。プロジェクト型の学習をさせることが欠かせない。C-facterやSocial sensibilityを身に付けることは人の心がわかる人に育てることであり、不登校やいじめの減少にもつながると考える。
第23回京都大会実行委員長 池田 忠
歓迎の言葉のあと、本大会のテーマの紹介、参加申し込み者数の報告、ご臨席いただいた来賓の紹介が行われた。
日本生徒指導学会会長 八並 光俊
大会開催にあたり約一年前からご協力いただいた方々へのお礼と、本大会のテーマに関わり、生徒指導提要改訂について現在の作業状況を説明された。これからの数年あるいは10年後に向けての大きなターニングポイントになることを踏まえた改訂になったことについて話された。
日本生徒指導学会関西地区研究会会長 新井 肇
公開講座で茂木先生が話された「コレクティブインテリジェンス」、異なる発想の人間が意見を戦い合わせそこから新たなものを作りだす、この学会がまさにそういう場であり、様々な立場の者が集まり意見を交わし学び合うことが、最終的には子どもたちの元気につながるというお話があった。
文部科学省初等中等教育局児童生徒課長 清重 隆信
子どもを取り巻く様々な境遇に対して総合的にアプローチをするため、来年春には子ども家庭庁が設置される。子ども家庭庁と文部科学省が協力しながら、自治体、学校、学校以外の様々な機関の力も借りながら、子どもの視点に立って教育を進めることについて話された。
国立教育政策研究所生徒指導進路指導研究センター副センター長 武井 久幸
生徒指導提要の12年ぶりの改訂が日本の学校教育において大変重要な転機になること本大会における様々な角度からの議論は大変意義深いこと、令和3年度問行調査結果から、学校教育の目的・生徒徒指導が果たす役割・生徒指導の機能を踏まえ、教育活動に取り組むことの重要性などついて話された。
池坊短期大学学長 桶谷 守
京都、池坊短期大学への歓迎の言葉のあと、ぜひとも夜は街に繰り出して京都の料理や風情など味わい京都の夜長を楽しみ、英気を養い、明日の活力を互いに吸収しながら明日もまた研修にのぞんでいただきたいというお話があった。
文部科学省初等中等教育局児童生徒課長 清重 隆信
この度、12年ぶりに「生徒指導提要」を全面的に改訂した。いじめ防止対策推進法や中央教育審議会の答申など様々な内容を踏まえた改訂となっている。
今後は、今回改訂された「生徒指導提要」が学校や教員一人一人に活用され、改訂の趣旨が周知・実践されるための普及・啓発を推進していくこととなる。
東京理科大学 八並 光俊
関西外国語大学 新井 肇
国立教育政策研究所 宮古 紀宏
京都市立栗陵中学校 石田 裕之
はじめに4名のシンポジストから生徒指導の改訂における考え方や、背景、生徒指導提要を活用した取組みについて発表が行われた。それに引き続いて、協議が行われ今回の改訂についての議論が活発に行われた。
(第2日目 11月6日)
天理大学 千原 雅代
東京理科大学 八並 光俊
国立教育政策研究所 宮古 紀宏
筑波大学 立石 慎治
東京理科大学 八並 光俊
京都教育大学 赤松 大輔
近畿大学 小泉 隆平
それぞれ、「オンライン面接の可能性と課題」、「小学生の情動の変化の数量的分析」、「School Connectednessといじめ加害行為の抑止との関連性」、「情動知能に着目した研究」について等の説明があった。どの発表も活発な質疑が行われた。
京都教育大学 片山 紀子
元福岡大学 大久保 正廣
大阪市教育委員会生活指導サポートセンター 笠谷 和弘
大阪市立矢田東小学校 池田 真弘
東京理科大学 中村 豊
各講師より、多職種連携による生徒指体制の構築の大切さ、大阪市の「学校安心ルール」のような学校としてのルールづくりの重要性、学校の実情に応じた「いじめ防止基本方針」を定め実行することの大切さ等が発表された。どの発表も活発な意見交換があり、有意義な分科会となった。
南国市教育委員会 戸田 哲寛
高知市立神田小学校 戸梶 良輝
高知大学 岡田 倫代
上越教育大学 星 洸貴
上越教育大学 高橋 知己
埼玉県公立小学校 石井 雄大
上越教育大学 高橋 知己
愛知県みよし市立三好中学校 村瀬 悟
不登校予防に向けたアセスメントやいじめリスクの予測、学級集団と児童理解のためのアセスメントツール、学級経営振り返りデータを活用した支援ツールについて発表が行われ、参加者からも多くの質問があり有意義な発表の場となった。
京都連合教職大学院・京都産業大学 角田 豊
京都連合教職大学院 藤本 陽一
京都連合教職大学院 若松 俊介
京都連合教職大学院 赤神 誠
名古屋学院大学 天野 幸輔
順天堂大学 石田 美清
関西大学 若槻 健
関西学院大学 濱元 伸彦
大阪大学 水野 聖良
第4分科会では、すべての発表において、立ち見が出るほどの盛況ぶりであった。また、発表後の質疑応答の時間では、活発に意見交換が行われ、参加者の理解が深まるとともに、発表者のさらなる研究意欲を高める有意義な分科会となった。
東北大学 麻喜 総一郎
北海道教育大学 小沼 豊
上越教育大学 服部 友樹
上越教育大学 蜂須賀 洋一
姶良市立建昌小学校 上猶 覚
北海道教育大学釧路校 山元 研二
近畿大学 松岡 敬興
第5分科会の発表は、非行、いじめ、自傷行為等への対応、また支援者(教師)の行動や丁寧な児童生徒理解の重要性について、それぞれ科学的手法で評価分析されており、明日からの実践のヒントとなるものであった。
舞鶴市立大浦小学校 中川 靖彦
高知市立介良小学校 栁瀬 啓史
星槎大学 土岐 玲奈
神戸市総合教育センター 廣岡 千絵
南山大学 宇田 光
第6分科会では、「中学校教職員の別室登校指導に対する意識と負担感-質問紙調査の分析から-」、「“生き方・在り方”を見つめ、自己教育力を高める年間指導Ⅴ~支援者若年教員 を支える学校 OJT~」、「個別最適な学びを前提とする通信制高校の教育制度と教育観の検討―昼間定時制・不登校特例校との比較から―」、「教育行政による推進事業指定後の発展的な取組-A 市立 B 中学校の実践-」、「米国の学校における長期欠席とその対策」のテーマで5名が発表を行った。
京都産業大学・元京都市立洛風中学校 須﨑 貫
東京家政大学 相馬 誠一
講演①:不登校児童生徒の多様な教育機会の確保に向けて、不登校特例校の設置促進、指導体制の充実が重要である。不登校児童生徒の中には、学校内外の機関等で相談・指導を受けていない者もいる。個々の児童生徒によって状況が異なるため、状況に応じた対応が必要である。
講演②:時代・社会の変化により、様々な問題が多様化・複雑化し、学校や福祉の制度が現状に追いついていない状況である。洛風中学校で大切にした視点として、「当たり前を疑う」(自己存在感・多様性の理解)、「『わからなさ』に耐える・通訳(手がかり)を探す」(共感的理解)、「気づきを大切に後ろから照らす・一緒に考える感覚で」(自己決定・納得)等があげられる。
ファシリテーター | 京都教育大学 片山 紀子 |
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パネリスト |
元東京都世田谷区立桜丘中学校 西郷 孝彦 都大路法律事務所・京都弁護士会 安保 千秋 京都府教育庁高校教育課 小西 良尚 神戸市教育委員会児童生徒課 小菅 康生 神戸市教育委員会児童生徒課 三宅 義範 |
講師 | 東京成徳大学 石隈 利紀 |
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司会 | 東京理科大学 八並 光俊 |