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日 時:令和3年8月7日(土)
場 所:オンライン(Zoomを使用)
日本生徒指導学会副会長 関西地区研究会会長 新井 肇
新型コロナウイルス感染症の流行拡大により、第14回大会はオンラインでの全体会のみの開催となった。本来ならば、分科会や自由研究発表も行うことになっていたが、元気が出るセミナーを拡充することで行いたいと考えている。オンラインでの開催となってしまったが、みなさんの心を合わせ、知恵を出し合い、子どもたちが元気で輝く生徒指導ができるような素地をつくっていく場にしたいと考えている。
ファシリテーター 日本生徒指導学会関西地区研究会 会長 新井 肇
新型コロナウイルス感染症の流行拡大は、大人のみならず子どもにも平穏な日常を突如奪われた喪失感や閉塞感を抱かせ、休校期間が続いたり「新しい生活様式」を強いられたりしたことが大きなストレスとなった。
昨年1年間に全国の児童相談所が対応した児童虐待の件数が19万7836人(前年比6%増)に上った。本来は安心・安全な居場所であるはずの学校や家庭において、多くの子どもがストレスを抱えている状況を考えると、コロナ禍において子どもが危機に陥るリスクが高まっていることは想像に難くない。その中で、今、子どもたちがどのような現状にあるのか、その背景には何があるのか、そして、そこに突きつけられている課題をどのようにして克服していくことができるのか、ということについて、「不登校」、「いじめ防止」、「自殺防止」、「児童虐待」という4つの視点から、4名の方々に課題提供していただき検討していきたい。
奈良女子大学大学院 教授 伊藤 美奈子
池坊短期大学 副学長 桶谷 守
社会福祉法人飛鳥学院 スーパーバイザー 阪中 順子
大阪府教育委員会スクールソーシャルワーカー スーパーバイザー 水流添 綾
不登校の子どもたちにとって、一斉休業により休むことが正当化されたような時期から、また登校を自明とする価値観が戻ることでしんどさが蘇ってきているように感じる。確保法では、学校に登校することが全てではないが、不登校の子どもたちは、学校(登校)に対して屈折した思いを持っている。
オンラインもいいが、対面の教育活動では顔と顔を合わせて、ときに人間関係でぶつかることもあるが、成長の場も提供している。不登校支援としてオンライン教育の新たな可能性を探りながら、学校の対面の意味、関係性を築いていく学校の意義を見直す必要がある。
「キモい」という言葉が人を分断する、排除への動きになる。
人は人に傷つき、人に癒やされる。
先生の役割は知恵と知識を教えるとともに、人との関わり方を教える。集団の中で生活することで、人の痛みをわかり、人の心を理解する環境をつくる。子どもたちの判断力や価値観、これからの世の中をつくっていく世論の形成について学校の意義が見直される。
コロナ禍で、こんなに自ら命を絶つ子が増えた。学校は福祉的な役割も果たしてきたのではないかと改めて思う。行事等があることで、人間関係が豊かになったり、日々の何気ない繋がりや先生方のちょっとした声かけや関わりで、子どもたちが癒やされたり救われたりしていたことが再確認された。
さまざまな環境にある子どもたちにとって、学校はどの子にも平等な学びの場を与えることができる。学校に来ることでさまざまな人と関わりを持てる。閉塞感がある子どもたちが、学校に来ることで世界観を広げ、それが生きる力に繋がっている。
義務教育の中で、どの子も繋がれるということが大きな意義。
学校は平等な学びの場、所属の場であるということ、コロナ禍において、改めて学校の意義というものが再確認されている。
ICTを使った教育や少人数、分散登校が合う子どもたちがいることがわかった。今までの学校の枠ではなく新たな形を模索しながらやっていくことが求められる。また、学校の環境差が見えたことは課題。
支援者(先生や保護者)を支える力、グチを聞き合える関係作り、先生たちが疲弊しない環境作りが大事。
コロナ禍において、人が不安に思うことがピンチだと思う。
いじめは休校中に起こっていない。人と人との距離感、物理的距離感と心理的距離感の間合いを学校教育の中で教えていけるのではないか。
コロナ禍以前に、マスクを着け続ける子どもがいたが、コロナ禍でその子どもの気持ちが理解でき、様々な子どもの立場を改めて考えることができた。自殺予防で言えば、対面で相談できない子が、SNSが充実したことで相談できるようになった。SNSの充実と、それを対面につなげることが大切。
SNS、オンラインによって、対面では出しにくかった自分の気持ちが出しやすくなった。オンラインでSOSが発信できたり、子どもたちの声を引き出したりするきっかけとなった。
4人の先生方の話を聞いて、人との関係性をどう築いていくのか、人との繋がりをどうつくっていくのかということが改めてコロナ禍の中で問われたと思う。元気が出る生徒指導の根底にあるのは、先生と子ども、子ども同士、先生と保護者、この関係性をどう築いていくかのかというところに大きな手がかりがあると感じた。
新型コロナウイルス感染症の蔓延により、延期を余儀なくされていた、森田洋司先生を偲ぶ会がオンラインで行われました。日本生徒指導学会会長の八並光俊様はじめ、多くの方々から、生前の森田洋司先生の功績が語られました。