日 時:平成23年8月6日(土) 10:00〜16:30
場 所:大阪府私学教育文化会館
テーマ:「関西発!つながる生徒指導」
本研究会の森田洋司会長から挨拶がありました。現在、日本は経済的な要因に加えて、震災の影響で厳しい状況にあるが、これは日本の1 つのステージであり、変わっていく始まりではないだろうか。これからは、こどもの問題解決には学校と関係機関との行動連携が一層大切になるだろう。
第4回を迎えた本研究会は、当初から研究者の論文発表等の場ではなく、「現場のための生徒指導」を掲げ、学校現場の教員、行政、研究者が手を組んで、子どもたちをどうするかについて考えていくことを目的にしている等の話がありました。
「これからのつながる生徒指導」〜 教育・福祉・司法の視点から子ども支援〜をテーマにご講演いただきました。
研究・実践報告等4本の応募があり、2会場に分かれて行われました。第1会場では、中間茂治氏(藍野学院短期大学附属藍野高等学校)による「『生きる力』を育てる全寮制教育4年間の取り組み」と、兵庫県立但馬やまびこの郷による「不登校経験者に聞きました− 但馬やまびこの郷利用者アンケート調査結果の分析」の2 本の発表がありました. 第2 会場では、西村純一氏(尼崎市立大庄北中学校)による「中学校における暴力行為予防のための教員研修プログラムにの実践」と、仲村和之氏(兵庫教育大学大学院)による「定時制高校生の学校適応感とレジリエンスに関する基礎的研究」の2本の発表がありました。
まず、福田綾子氏(甲賀市立水口小学校教諭)が「アセスメントに基づいた効果的な支援の在り方〜 役割を明確にし、連携を大切にした教育相談体制〜 」と題し、S S W の視点に基づく連携を重視した組織的な支援の在り方について報告がありました。続いて、笠川常彦氏・山本洋祐氏(大津市立石山中学校教諭)が「きっとあなたも好きになる〜 i i s m . (石山イズム)の提唱が生み出したもの〜 」と題し、石山イズムのスローガンのもと「開かれた学校づくり」を推進するなかで、地域で子どもを育てる気運が高まり、問題行動の減少に結びついたという報告がありました。最後に、後藤喜代嗣氏(滋賀県立伊吹高等学校教諭)が「当たり前の先にあるもの・・・伊吹高校の挑戦」と題し、「当たり前のことを当たりまえに」という校是のもと、「凡事徹底」を行うことにより生徒指導で成果を上げているという報告がありました。
「発達障害と生徒指導」について、後野文雄氏(京都府総合教育センター人材育成支援室チーフアドバイザー)が講義を行いました。前半は、多発している問題行動の背景には、発達障害に起因するものが多いため、発達障害を正しく理解し対応する必要があることを、ご自分の経験や事例を交えて話されました。後半は、すべての子どもを支えるという視点に立って、教育のユニバーサルデザインの構築のために、学校の組織的な取組、生徒のやる気や家庭の支えを引き出すための具体例を話されました。
梅田真寿美氏( 奈良市立西大寺北小学校長) が、「規範意識を高める家庭教育へのアプローチ」というテーマで実践報告を行った後、グループ協議を行いました。奈良県すべての保育所・幼稚園で取り組まれている「おはよう・おやすみ・おてつだい」約束運動の内容・手法とアンケート結果をもとに、全体で取り組むことの有効性、小学校段階への継続方法や意識の低い保護者へのアプローチについて協議しました。
第4分科会では、「学級・学年経営における生徒指導と小中連携・協働の取組」というテーマで、古城門和磨氏( 神戸市立高津橋小学校)、芝雅博氏( 神戸市立玉津中学校) に、それぞれ実践報告をいただきました。協働・チームワークを大切にした生徒指導、子どもを中心に見据えた学年・学級経営等についての具体的実践が報告されました。また、小中連携や関係機関との連携についても報告がありました。終わりに、住本克彦氏( 環太平洋大学次世代教育学部教授)から、まとめ及び指導助言をいただきました。