平成20年8月に発足いたしました本研究会も3年目を迎えました。この間、2回の大会に加え、昨年度は日本生徒指導学会第10回大会の共催にての実施をはじめとし、セミナーの開催やニューズレター、ホームページ、研究会ブログでの情報提供などの活動を行なってまいりました。
そして今年度最初の取組みとして、平成22年8月7日(土)、大阪府私学教育文化会館において第3回大会を開催いたしました。「関西発!つながる生徒指導」を大会テーマとし、パネルディスカッション自由発表、4つの分科会と、盛りだくさんな内容で155名の参加を得て実施することができました。ニューズレター第5号では、第3回大会の報告と今後の取組等についてお知らせいたします。(詳細については、本会公式webサイトの会員エリアをご覧ください)
会長挨拶
本研究会の森田洋司会長(大阪樟蔭女子大学前学長)から挨拶がありました。「元気が出る生徒指導」として日本生徒指導学会関西地区研究会の大会も3回目。生徒指導は社会の中で求められる所が大きくなっている一方、先生への苦労、負担が多くなっている。文部科学省は、学級編成基準の切り下げや、生徒指導に関して基準定数の見直しを検討しており、先生方の苦労と成果が説得力を持つような時代になってきた。本研究会で、日頃のエネルギー、活力、原動力を蓄えていただきたい等の話がありました。
パネラーの方々
(滝氏・梶谷氏・大橋氏)
全体会では、「つながる生徒指導〜生徒指導提要からみる、今後の生徒指導の在り方〜」をテーマとしたパネルディスカッションを森田洋司会長をコーディネーターとして実施しました。生徒指導提要作成にあたっての背景や今後の生徒指導のあり方と生徒指導提要の活用の仕方について、滝充氏(国立教育政策研究所総括研究官)、梶谷尚義氏(大阪府教育委員会児童生徒支援課長)、大橋忠司氏(京都市立桂中学校校長)をパネラーとしてお迎えし、国・地方教育行政、学校現場のそれぞれのお立場から議論いただきました。
学校教育の学習指導を支える全てのものが生徒指導であり、生徒指導提要は特に小学校段階からの、小中高を通した生徒指導という視点、未然防止に力点を置く視点を大切にしている。生徒指導提要を通して学校組織として教員一人ひとりがスキルを高め、すべての学校教育活動を豊かなものにしていただきたい。また、学校現場では興味や必要性のある部分を活用できる研修が大切であり、そのための環境づくりが必要などの意見が出されました。
自由発表第1会場
自由発表第2会場
自由発表では、研究・実践報告など4本の応募があり、2会場に分かれて行われ、両会場とも多くの参加者で埋まりました。第1会場では、山口満氏(中部学院大学特任教授)を座長として、大前泰彦氏(有田市立初島中学校教頭)による「問題行動と学力及び性格傾向との関係」、西康滋氏(兵庫教育大学大学院学校教育研究科)による「教師の使命感とバーンアウトの関連についての基礎的研究〜中学校教師の困難な状況の認識と克服に関する質的分析〜」の2本の発表がありました。第2会場では、片山紀子氏(京都教育大学院連合教職実践研究科教授)を座長として、菊池美奈子氏(大阪府立園芸高校養護教諭)による「養護教諭と生徒指導部の連携における現状と課題(学校保健安全法第26条、児童生徒の加害行為を中心に)」、M田忍氏(神戸市立長田中学校教諭)による「小中指導連携について」でした。
午後は4つの分科会に分かれて研究協議が行なわれました。
第1分科会
第1分科会
第1分科会は、西崎渉氏(神戸市教育委員会指導主事)、若林敏広氏(兵庫中学校教諭)、今北広敦氏(布引中学校教諭)による「『ふれあい懇話会』の取組」についてと、若林隆生氏(滋賀県警察本部生活安全部少年課長)、芋田利徳氏(東近江市能登川地区地域教育協議会会長)による「関係機関との連携」についての実践報告でした。ふれあい懇話会の取組では、家庭・地域・学校園の連携の強化・充実を図るため、全中学校(83校)区で日常的に定着しているという報告がありました。、「関係機関との連携」では、「学校」と「警察」の連携として、立場の異なる組織であっても、相互に理解し、共通目標を明確にして有機的に連携することが大切であるとの報告がありました。
第2分科会
第2分科会
第2分科会では、「良質なコミュニケーションを大量に」として菱田準子氏(大阪市教育センター総括指導主事)による授業共同学習・グループワーク・スキル学習、ピアサポートなど、児童・生徒のコミュニケーションの質と量を高めることによるいじめや不登校の予防的・開発的な取組の研究報告がありました。続いて「小学校における生徒指導として」樅山敬剛氏(奈良県御所市立大正小学校教諭)による5年生児童の事例を通じた実践、校内体制や学級運営についての取組の実践報告がありました。
第3分科会
第3分科会
第3分科会は「家庭を支えつなげる生徒指導」というテーマで金澤ますみ氏(大阪人間科学大学助教)によるワークショップでした。エコマップで関係性について考えるというアイスブレイキングに始まり、想定事例をもとに心配となる段階、児童通告を行うタイミング、通告する機関とその理由についてグループで協議を行いました。
第4分科会
第4分科会
第4分科会では、「教育相談あれこれ〜教育相談電話等におけるクレーム対応あれこれ〜」というテーマで住本克彦氏(環太平洋大学次世代教育学部教授)に講義いただきました。電話相談や直接の教育相談に対してどういう心構えが必要なのか、どのポイントを大切にしていかなければならないのかということが具体的な事例を通して示されました。また直接の保護者対応については、ロールプレイモデルを見ることによって、より明確に対応の方法が理解できました。
役員、各分科会発表者など約100人が参加して開催されました。各府県の取組に関して情報交換が活発になされ、研究者、行政、教育現場の交流がさらに進みました。
「元気の出るセミナー」を実施します
講師 | 京都教育大学 教授 本間友巳氏 |
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日時 | 平成22年10月2日(土) 10:00〜12:00 |
会場 | 京都市教育相談総合センター「子ども相談センターパトナ」 |
講師 | 関西学院大学 教授 横山利弘氏 |
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日時 | 平成22年12月4日(土) 10:00〜12:00 |
会場 | 兵庫県私学会館 |
日本生徒指導学会関西地区研究会事務局(大阪樟蔭女子大学小阪キャンパス内)
TEL:06-6723-8181
FAX:06-6723-8348
E-mail:jagc-kansai@osaka-shoin.ac.jp