会長挨拶
平成20年8月9日(土)大阪樟蔭女子大学小阪キャンパスにおいて、「日本生徒指導学会関西地区研究会発足大会」が「関西発!元気の出る生徒指導 −子どもの輝く笑顔のために−」を大会テーマとして、参加者260人、来賓として、文部科学省初等中等教育局児童生徒課課長補佐 高橋正敏 氏をお招きし、盛大に開催されました。関西地区研究会の発足に際しまして、ニューズレターについても今後、随時発行していきたいと考えておりますので、よろしくお願いします。 さて、記念すべき第1号については、「発足大会」の概要等の報告と今後の計画や取組等についてお知らせいたします。
課長補佐挨拶
来賓の高橋課長補佐からは、「関西地区研究会の発足が時宜を得たものであること」、「様々な立場の方々がお互いの成果の交流と共有を通じて、生徒指導の充実発展に寄与しようとしていることに、文部科学省として大きな期待を寄せていること」などのご祝辞をいただき、日本生徒指導学会の森田洋司会長(大阪樟蔭女子大学学長、関西地区研究会発起人)からは設立の趣旨を踏まえた挨拶がありました。その後、役員・会則・事業計画など、今後の取組について満場一致で決定しました。
朝倉氏講演
広島県教育委員会教育部学校経営課 朝倉一隆 総括指導主事より「問題行動への対応と絆を育てる生徒指導について ―荒れの状態にある学校への指導実践を通して―」とのテーマで講演いただきました。「子どもたちの背景を理解することの重要性」、「学校組織としての生徒指導体制の確立」、「教育への熱い思いと教師自身を語ること」など講師先生の熱い語りは、参加者の教育への思いを再度、たぎらせる活力となりました。講演後、日本生徒指導学会近畿支部前代表の上地安昭先生(武庫川女子大学)から、「言葉にならないほどの感銘を受けました。」との謝辞をいただきました。
5分科会において研究協議が進められました。
第1分科会
第1分科会はテーマを「メールやネット上のいじめに対する未然防止と早期対応」とし、兵庫県教育委員会の村田かおり指導主事から「ネット上のいじめ・誹謗中傷への対応」について、「インターネット上の問題としての対応といじめられた子どもへの対応の両面での取組」などの発表、大阪市教育委員会の中島清貴指導主事から「ネット上のいじめ等の克服に向けての取組」について、「中高生へのアンケート結果を活用した取組」などの発表がありました。助言については、国立教育政策研究所生徒指導研究センターの三好仁司総括研究官から「言語活動の充実がこの問題の解決につながるという意識が必要」、「被害者だけでなく加害者となる事例が発生していることから、モラルや危険性の指導が大切」との内容でいただきました。
第2分科会はテーマを「学校におけるリスクマネージメント」とし、京都市教育委員会の大橋忠司首席指導主事から「京都市学校問題解決支援チームの取組」について、「平成19年度から立ち上げた学校問題解決支援チーム(メンバー:SC、警察官OB、精神科医、弁護士、臨床心理学者、市民代表など)の活動及び成果と課題」などの発表、堺市教育委員会の山本博章総括指導主事から「学校の危機管理における初期対応について」について、「危機管理マニュアルの活用」、「学校危機管理アドバイザー(校長OB、警察OB)の活用」などの発表がありました。助言については、和歌山県教育庁生涯学習局の宮下和己局長から「学校が対応しなければならない危機管理は膨大であるが、初期対応と蓄積された経験を生かしていくことが大切。」、「組織として対応する場合でも、ポイントとなるのは人である。」「危機管理にあたっては3つのワーク(初期対応のフットワーク・血の通ったチームワーク・情報を生かすネットワーク)が必要」などの内容でいただきました。
第3分科会
第3分科会はテーマを「規範意識を高める生徒指導」とし、奈良県教育委員会の本影隆志指導主事から「規範意識を高める法教育推進事業の取組」について、「法教育のための学習教材作成」、「研究指定校における教材の有効活用」などの発表、和歌山県教育委員会の高幣泰男指導主事から「市民性教育による児童生徒の規範意識の醸成」について、「規範意識を高めるための学習プランの開発」、「きのくに共育コミュニティの構築」などの発表がありました。助言については、国立教育政策研究所生徒指導研究センターの藤平敦総括研究官から「人間関係調整能力の育成と課題解決能力の育成が必要」、「明確なルールづくりの必要性」、「市民性の教材化」などの内容でいただきました。
第4分科会はテーマを「不登校の子どもたちへの支援と未然防止」とし、京都府教育委員会の本島知樹指導主事から「フリースクールとの連携のあり方」について、「民間施設との協働システム構築の取組」などの発表、大阪府教育委員会の中野澄主任指導主事から「不登校未然防止にむけた取組」について、「中1不登校に着目した小中連携の取組や児童生徒の絆づくりの推進」などの発表がありました。助言については、国立教育政策研究所生徒指導研究センターの滝充総括研究官から「フリースクールとの連携については、学校復帰・学習評価・進路実現という視点を大切にしたい。」、「不登校に関して、各学校において研究的な見方をすることも必要である。」、「例えば、トータルの数値よりも学年ごとに追跡していく見方なども方法としてあるのではないか。」などの内容でいただきました。
全体会
第5分科会はテーマを「学校支援の取組 〜関係機関との連携と外部人材の活用〜」とし、滋賀県教育委員会の伊部加代指導主事から「発信!スクールソーシャルワーク滋賀方式」について、「スクールソーシャルワーカースーパーバイザーと担当指導主事の協働によるアセスメントとプラニングのあり方について指導助言する取組」などの発表、三重県教育委員会の西村茂指導主事から「三重県における生徒指導特別指導員活用事業の成果と課題について」について、「警察OBと教員OB等を活用した学校支援の取組」などの発表、神戸市教育委員会の保田良明生徒指導係長から「関係機関との連携の取組」について、「顔の見える関係づくりと信頼関係の構築の観点での取組」などの発表がありました。助言については、国立教育政策研究所生徒指導研究センターの藤田晃之総括研究官から「日本の学校教育の特性」、「スムースな連携を目指した関係づくり」、「地道な働きかけ」との内容でいただきました。
情報交換
各分科会における発表等について、各担当者から報告され、参加者への環流及び情報共有がなされました。
役員、各分科会発表者など約100人が参加して行われました。各府県の取組に関して情報交換が活発になされ、今後の研究会の活動が飛躍する予感がしました。
*現在、関西地区研究会会員募集中です。
ニューズレターの発行について、遅れて申し訳ございません。また、当日は何もかも初めての経験で、走り回っていただけの感もありますが、何とか皆様のおかげで無事、発足大会が終了しました。今後も、関係の皆様のご協力・ご支援のもと、アンケート等で指摘された改善すべき点を踏まえ、第2回大会にむけて計画してまいります。よろしくお願いします。
文責:若山真一郎(三重県教育委員会)